妊婦健診
当院では施設規模の都合上、分娩は取り扱っておりませんが、妊娠後期に近隣の分娩施設へ移られるまでの健診や、帰省分娩を望まれる方の帰省までの健診は積極的に承っております。また、異常時には大学病院や近隣の病院と連携をとる事で、迅速に対応いたします。
妊娠初期に、大学病院などの分娩施設での分娩予約を取るお手伝いをいたします。
分娩施設の混雑は激しく、妊娠週数が進んだ場合には分娩予約を取る事が困難な場合があります。
「妊娠の可能性があるかも」と思われた場合は、早めの来院をお勧めいたします。
妊婦健診のスケジュール
妊娠5週
妊娠検査薬(尿HCG定性検査)は確実に陽性となります。
超音波検査で胎嚢が子宮内に見えるか確認します。
胎嚢が子宮内に確認できない場合は、子宮外妊娠の可能性も考慮に入れなければなりません。
慎重にフォローします。
妊娠6週
胎嚢内に胎児像が確認されます。
超音波で胎児の心臓の動きが確認されます。
「赤ちゃんの心拍が見えますよ。」と言われるのがこの時期です。
当院では概ね以下のような流れで、妊婦健診を進めていきます。状況により、若干の検査時期のずれが生じることがあります。
妊娠8週~10週
分娩予定日の最終決定。この時期の胎児頭殿(CRL)の計測により分娩予定日の確認を行います。
この時期はCRLのズレが少ないとされているためで、必要に応じて分娩予定日の修正を行います。
この時期から母子手帳を持参いただいて妊婦健診を始めます血圧測定・体重測定・尿検査(蛋白・糖)・児心拍確認など、妊娠初期検査:子宮頸部細胞診・血液一般検査・血糖・血液型・不規則抗体・梅毒検査(RPR・TPHA)・HBsAg・HCV・HIV・HTLV-I・甲状腺検査を行います。
妊娠10週~12週
クラミジアPCR検査を行います。
妊娠12週~14週
以下の様な妊婦健診(確認)をします。
妊娠初期超音波検査
- 頭部に不正は無いか
- 頸部・胸部・腹部に異常な液体貯留は無いか
- 四肢は4本見えるか
など
以後妊娠25週までは4週毎の妊婦健診を行います。
妊娠20週
妊娠中期超音波検査を行います。
また、以下の様に各所確認していきます。
全身
- 浮腫は無いか
頭部・顔面
- BPD(児頭大横径)は週数相当か
- 頭蓋内は左右対称か。異常像が無いか
- 外に突出する異常像が無いか
- 上唇に異常は無いか
胸部
- 心臓の位置は正しいか
- 左右心房心室の4個の腔があるか
- 大血管の出口は問題ないか
- 胸腔内に異常像は無いか
腹部
- 胃・膀胱の確認
- 異常な嚢胞像が無いか
- 腹壁の状態や臍帯血管数
背部・臀部
- 異常な膨らみが無いか
- 四肢や用水の状態
妊娠26週以降
妊娠26週からは2週毎の妊婦健診を行います。
分娩担当施設の要望に合わせて妊娠32週前後までの健診を行います。
- 妊娠25週~26週:GCT(50g糖負荷試験)・血液一般検査
- 妊娠28週~30週:妊娠後期超音波検査(中期と概ね同様)
RSウィルスワクチン接種について
28週〜36週の妊婦さんに「RSウィルスワクチン(薬品名:アブリスボ®筋注用)」を推奨しています。
母体にワクチンを投与して、母体が作ったIgGが経胎盤的に胎児に移行して生後6ヶ月までの児の免疫を作る目的です。生後6ヶ月以内の児がRSウィルスに感染するとお多くが重症化して入院が必要となるため、これを防ぐ目的です。