休診日 金曜、日曜・祝日
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アーバネスト駒沢2階
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ピル外来

ピル外来のイメージ画像

低容量ピル(以降ピル)と言うとどんなイメージがありますか?
「なんとなく怖い。」
「副作用があって体に悪いんじゃないの?」
「太りそう。」
「避妊のために飲むんでしょ。そのまま不妊症になったらイヤ。」
「周りにネガティブなイメージを持たれそう。」
なんてイメージはありませんか?
これらのイメージは「避妊薬」以外は全く的外れで誤っています。全くの偏見と言えるでしょう。

ピルは
「怖くはありません。上手く使うと女性の健康に大きく役に立つ薬」です。
「身体に良い事がたくさんあり、悪い事は非常に少ない薬」です。
「ピルが直接的な原因となって太ることはありません。」
「避妊効果の高い優秀な避妊薬です。女性が自ら意思のみで確実に避妊効果が得られます。ピルを使う事で不妊症にはなりません。」
これは私の印象ですが・・・「“できる女性”ほど、ピルを上手く使って、“面倒で辛い生理”を上手くコントロールしている」ような感じがします。
ピルは女性をサポートする選択肢の一つです。
ピルを上手に使って、普段の生活を“自分らしく快適に”しませんか?

ピルの効能

ピルの効能には以下のものがあります。

(1) 避妊薬

「排卵を抑制」したり「受精卵の着床を阻止」することで避妊効果が出ます。
パール指数(100人の女性が1年間で何人妊娠するか=避妊失敗人数)は0.3人です。

避妊方法 パール指数
ピル 0.3人
不妊手術(女性) 0.5人
不妊手術(男性) 0.1人
コンドーム 2~15人
リズム法 1~25人
IUD(避妊リング) 0.2~0.6人
避妊なし 85人

Reproductive Health. CDC

ピルの避妊薬としてのメリットは、女性が自分の意思と判断だけで確実な避妊効果を得られることです。パートナーの男性が非協力的であっても、自分の意思で避妊が可能になります。

(2) 生理痛が軽くなる

月経の悩み:月経困難症をお読みください。

(3) PMS(月経前症候群)が軽くなる

月経の悩み:PMS(月経前症候群)/ PMDD(月経前不快気分障害)をお読みください。

(4) 月経量の減少

ピルを使用すると子宮内膜の発育量が減少するため、月経時の出血量が少なくなります。このため貧血が改善したり、月経時の煩雑さが緩和します。

(5) ニキビ・肌荒れの改善・体毛の減少

抗アンドロゲン作用により、美容的に良い面も多く認めます。

(6) 悪性腫瘍の減少

長期に使用した場合、悪性腫瘍の発生が5~10%減少してピルを普段から使用している方は平均寿命が延長すると言われています。
特に婦人科形悪性腫瘍の頻度が減るとされており、卵巣がんは50~70%減少すると言われています。他に子宮体がん、大腸がんも減ります。

(7) ピルを使った月経(生理)コントロール

ピルを使って月経を別の日に移動させることができます。
月経コントロールについては、生理のコントロール(月経周期の調節)をお読みください。

ピルの副作用

これまでピルの良いことばかりを書いてきましたが、副作用(有害作用)もあります。

(1) マイナートラブル

使い初めの頃に吐き気・頭痛・むくみなどが一時的に現れることがあります。ほとんどが内服開始後1ヶ月以内におさまります。

(2) 血栓症(血管に血液の塊が詰まってしまう病気)

頻度は大変少ないのですが、重篤な状態になってしまうこともあるため注意が必要です。
ピルは血液の粘稠度を高める傾向があります。いわゆるサラサラ血からネバネバ血の方向に動かします。このため肺塞栓・脳卒中などのリスクが少し高くなることが知られています。
この血栓症は、ピル開始後の最初の3ヶ月に多く、それ以降はリスクが下がっていきます。このため投与開始後の最初の3ヶ月は毎月通院いただいて様子を見ながら処方するようにしています。
喫煙する方は血栓リスクが高くなるため、ピルの処方はできません。ピル開始をきっかけに禁煙すれば、タバコの害も無くなります。
喫煙される方は禁煙とセットで考えましょう。

(3) 不正出血

ピルの飲み忘れがあったり飲む時間が大きくずれたりすると、薬の血中濃度乱れます。これが不正出血の原因になります。

避妊薬としてのピル

有効な避妊法の条件は以下のなどがあります。

  • 効果が確実
  • 実行が簡単
  • 女性の意思で行える(男性の協力が不要)
  • 性感を損なわない
  • 使用を中止すれば妊娠が可能
  • 価格が安い
  • 安全

ピルはこれらの条件すべてを満たすものではありませんが、現存する避妊法の中で、最も理想に近いものとされています。
安全性が高い薬ですが、頻度は少ないものの血栓症などの重い副作用の可能性がありうるため、婦人科的な診察を行い禁忌条項にあてはまらないことを確認した上で使用する事が大切です。
連続して使用する場合には、定期的な検査を行う事が大切です。

緊急避妊法(モーニングアフターピル)について

当院では緊急避妊にも対応します。避妊目的の治療は保険適応外となります。

ピルを使った生理の
コントロール
(月経周期の調節)

試験や旅行などの日程と生理予定日が重なってしまうような時、ピルを使って生理の日を移動させることができます。
ピルを一定期間投与した後に薬をやめると2~5日後に消退出血(生理)が始まります。(人によって出血が始まる時期にずれが出ることがあります。)

ピルを使った生理のコントロール(月経周期の調節)の図

生理の開始日を早める場合(月経周期を短縮する)

月経3~5日目からピルを10日間以上内服する。内服終了2~5日後に生理が始まる。

生理の開始日を遅くする場合(月経周期を延長する)

  1. 月経7日目以内からピルを遅らせたい時期まで内服する。内服終了2~5日後に生理が始まる。
  2. 月経開始予定5~7日前からピルを遅らせたい時期まで内服する。内服終了2~5日後に生理が始まる。(この方法は薬の使用期間が短くて済みますが、排卵後で内因性ホルモンの分泌が起こっている