- 2026年1月15日
生理痛が重い方へ

生理痛の原因
出血があるだけでも大変なうえに、生理痛が重いと、十分な睡眠が取れなかったり仕事や学業に支障をきたすなどの弊害もありますよね。個人差はあるにしても、つらい生理痛に悩まされている方は少なくなく、ほとんどの女性が多かれ少なかれ、生理痛に悩まされたことがあると思われます。
日常生活に支障をきたすレベルの生理痛を「月経困難症」といい、大別して二種類に分けられます。
機能性月経困難症(きのうせいげっけいこんなんしょう)
機能性月経困難症とは、身体に痛みを起こす原因となる疾患が無いにも関わらず生理痛が強く現れる状態をいいます。
月経時に脱落する子宮内膜から産生されるプロスタグランジンという物質(筋組織を収縮させる作用を持ちます)が原因と言われています。
みなさん足がつったことはありますか? 滅茶苦茶痛いですよね。
この痛みは足の筋肉が過剰に収縮することで発生しています。
実は子宮は平滑筋という筋肉で構成されています。月経困難症では“足のつった状態が子宮で起きている”とイメージするとわかりやすいと思います。
また、子宮頸管の狭さも痛みの原因になると言われています。
器質性月経困難症(きしつせいげっけいこんなんしょう)
質性月経困難症は、何らかの原因疾患があって痛みの症状が出るものをいいます。
原因としては、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などが挙げられます。酷くなると生理中でなくても痛みが強く出てしまう起こる事がありますが、原因疾患の治療によって症状改善が可能です。
生理時に起こるつらい症状
生理痛は多様な症状で女性を悩ませます。
代表的な症状の原因について触れていきます。
腹痛
子宮内膜では生理の少し前頃から生理中にかけてプロスタグランジンが産生されます。
プロスタグランジンは筋組織の収縮を促す以外に、痛みや熱、腫れを引き起こす成分でもあります。プロスタグランジンによって、筋組織の強い収縮に加えて子宮や周囲の血管が収縮します。このような様々な作用が複合した結果として腹痛という症状が表れます。
腰痛
月経時の腰痛も腹痛と同様にプロスタグランジンの影響が考えられています。プロスタグランジンの働きが子宮や子宮周囲の血流を滞らせ、骨盤周辺を中心としただるさや痛みを引き起こすと推測されています。
頭痛
女性ホルモンの一つ:エストロゲン(卵胞ホルモン)の変動による影響が考えられています。エストロゲンは生理前から月経開始にかけて分泌量が減少していきます。それに伴って、セロトニン(血管の収縮を促す作用がある脳内物質)も減少します。
このセロトニンの減少によって、脳内の血管が拡張して頭痛が引き起こされます。通常の偏頭痛よりも長時間に及び、痛みもより強い傾向があると言われています。
吐気
先程から何度も出てくるプロスタグランジンが関与しています。プロスタグランジンは子宮だけでなく胃や腸も収縮させます。(血管や消化管にも平滑筋組織があります。)胃や腸の収縮によって胃に不快感が起こり、吐き気につながります。
貧血
生理中にめまいや立ちくらみなどの症状が出ることがあります。これらは脳貧血の症状で、自律神経のバランスが乱れるために起こると考えられています。
血液中のヘモグロビン値が低下する貧血とは全くの別物です。
子宮筋腫や腺筋症など基質的疾患がある場合は、過多月経となり多量の血液を喪失することで鉄欠乏性貧血を起こします。
病院に行く目安(市販の鎮痛剤で済ませない方が良い場合)
何らかのつらい症状がある場合はご自身だけで抱えずに、産婦人科に受診してご相談ください。
生理痛が強い場合は、子宮内膜症、腺筋症、子宮筋腫などの器質的疾患が見つかることもあります。放置すると不妊症につながるケースもあるため、早めの産婦人科受診をご検討ください。
下記に当てはまる場合は要注意です。
- 学校や仕事を休むほどの症状に悩まされている
- 経血量が増えている
- 生理後も痛みが続く
- 不正出血(生理以外の出血)がある
- 生理ごとに痛みや症状が悪化する
- 性交時に痛みがある
治療方法
日常生活に支障があるほどの生理痛=月経困難症は治療が必要な疾患です。
ピル(低用量経口避妊薬)は、避妊効果に目が向きがちですが、生理痛緩和効果も期待できます。子宮内膜の増殖抑制をするため、痛みの元となるプロスタグランジンの産生も抑えられ、子宮収縮作用も抑制されるためです。
月経前症候群(PMS)や生理不順にも効果が見込めるため、生活の質(QOL)を向上させる女性の強い味方と言えます。
また、漢方薬もよく使われます。
月経困難症には、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)などを中心に、個人の体質に合わせて薬剤を選択します。
漢方薬は自然の生薬なので副作用が無いと誤解されやすい傾向があります。
一般の薬剤と同じように漢方薬でも有害作用は数多く認められています。
医師や薬剤師の指導の下で使うようにしましょう。
